鼻アレルギーの治療方針

体質を改善する減感作療法

原因タンパク(アレルゲン)を定期的に体内に投与することで、アレルギー体質を改善する治療法です。日本ではハウスダストとスギの治療エキスが認可されております。投与方法は注射による皮下投与と口の中に入れる舌下投与があります。皮下投与においては唯一治癒が期待される治療法です。そのため米国では主に皮下投与が行われ、ヨーロッパでは皮下と舌下が1:1の割合です。より高濃度のアレルゲン投与により有効性が増すために、慎重な増量期間が必要です。舌下投与は維持量になっても連日の治療が必要ですが、皮下投与の場合は維持量に達すると治療間隔は月1回となり、通常は3年以上継続します。通年性アレルギー性鼻炎におけるハウスダストの皮下投与での有効率は小児で約7割、成人で約6割です。他のアレルギー疾患に対しても治療適応があり、喘息で4割、アトピー皮膚炎では3割程度の有効率です。治療効果が出るまで数ヶ月を要することが多いため、通常の薬物療法を併用することが多いです。


鼻粘膜レーザー手術

鼻がつまって呼吸がしづらい鼻閉型のアレルギー性鼻炎にオススメな治療法です。札幌医大での治療成績は薬の治療で改善しない鼻閉型のアレルギー性鼻炎に対する有効性は治療3ヶ月後で84%(症状の消失62%、改善22%)でした。粘膜の再生に伴って治療効果が減弱しはじめる時期は6ヶ月です。ハウスダストの減感作療法を併用すると再発(再照射)が必要なことが稀になります。

この治療法は侵襲が少ない入院不要の外来手術です。ガーゼによる表面麻酔後に鼻の中に細長いレーザー照射器具を挿入しレーザー照射します。両側の照射は数分で完了します。術後は鎮痛剤を要することは稀で、術後24時間は少量の出血が2人に1人の割合で起こりますので激しい運動は避けてください。

手術料は両側行なって約3万円ですが保険適応となりますので、3割負担の場合のお支払いの手術料は1万円以内となります。


症状に応じた薬物療法

鼻アレルギーの主な3症状のくしゃみ、鼻汁、鼻閉塞感を和らげる一般的な治療法が薬物療法です。内服薬と点鼻薬に分かれます。代表的な内服薬はくしゃみと鼻汁に有効な抗ヒスタミン薬と、鼻閉塞感に有効なロイコトリエン拮抗薬があります。一方、点鼻薬は3症状に有効なステロイド点鼻薬が用いられます。最近の治療薬は長期内服しても副作用の起こる頻度はかなり少ない利点があります。この治療法は症状を和らげるだけの対症療法となりますので、治療を中止すると症状は再燃することが多いです。